腰痛とは
日本人の方の多くが1度は悩まれたことのある腰痛ですが、これは特異的腰痛と非特異的腰痛に分類されます。
特異的腰痛とは
特異的腰痛は、原因が特定できる腰痛のことを言います。
例えば、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、脊椎外傷、関節リウマチなどを発症することで起きる一症状(腰痛)のことを言います。
そのため、何よりも原疾患の治療が優先されますが、対症療法として腰痛を緩和させる治療が行われることもあります。
特異的腰痛の代表的な疾患
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎とは、主に背骨の腰にあたる部分を言います。
そしてこの腰椎と腰椎の間にはクッションの働きをするとされる椎間板(髄核)があります。
この椎間板が加齢、あるいは若い世代の方でも腰椎を酷使することが原因(スポーツによる腰の酷使、重い物を持ち上げるなどの肉体労働、外傷 など)となって変性するようになります。
その変性により突出した形になって、脊柱管の中を通る馬尾や神経根が圧迫されるようになると様々な症状が出るようになります。
これを「腰椎椎間板ヘルニア」と言います。
主な症状は、腰痛と腰部可動域の制限になります。
またいずれか一方の足に感覚障害や放散痛(坐骨神経痛)が現れる、力が入らないということもあります。
また馬尾の圧迫によって、会陰部にしびれ、膀胱直腸障害が見受けられます。
診断方法については、主に画像検査(レントゲンやMRI など)になります。
腰椎椎間板ヘルニアの治療
腰椎椎間板ヘルニアも治療に関しては、主に保存療法となります。
腰痛についてはNSAIDsや筋弛緩剤などの薬物療法や神経ブロック注射を用います。
また、コルセットで腰部を安静にさせる装具療法、理学療法(主に物理療法による温熱、低周波、牽引など)も行っていきます。
それでも改善が困難であれば、手術療法によるヘルニア摘除術が検討されます。
腰部脊柱管狭窄症
非特異的腰痛とは
先にも述べましたが、非特異的腰痛は原因が特定できない腰痛です。
ちなみに日本人の全腰痛患者様の約8割が非特異的腰痛です。
したがいまして、骨、関節、筋肉、筋膜といった部位での異常が必ずしも原因ではなく、日頃の生活習慣やストレスなど心理的要因によって発症することもあります。
なお、多くの人が経験したことのある、ぎっくり腰は原因不明の非特異的腰痛で、さらに急性か慢性かに分けられるのですが、この場合は前者です。
そもそも、ぎっくり腰は、重い荷物を前にかがんだ状態で持つ、いきなり腰を捻る、もしくはベッドから勢いよく立ち上がるといった急に姿勢を変えるといったことで発症します。
この際によくみられる症状は、腰に激痛、腰椎での運動制限、前方への屈曲運動が困難といったことです。
なお、急性の非特異的腰痛とは、発症から1ヵ月未満の腰痛のことを言います。
また、慢性の非特異的腰痛とは、発症から3ヵ月以上続いている腰痛のことで、この場合は腰全体に痛みやだるさ、重みの症状がずっと続いていている他、抑うつ状態や身体表現性障害など精神的な症状がみられていることもあります。
非特異的腰痛の治療
主な治療方法ですが、非特異的腰痛では腰の痛みを取り除く、対症療法になります。
主にNSAIDsなど痛み止めのお薬のよる薬物療法、あるいは神経ブロック注射になります。
それでも症状が強ければ安静にします。
なお、経過については、身体を動かしていた方が良い場合もあるので、可能な範囲で腰痛体操などストレッチを行っていきます。
ぎっくり腰につきましては、1ヵ月ほどで多くは軽快するようになります。
ただ、痛みが長期に及んで慢性の非特異的腰痛となって、心理的要素も確認されていれば、抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法を使用していきます。
さらに非薬物療法による認知行動療法(物事の考え方やとらえ方、また問題となっている行動を見つめ直す)も併せて行うようにします。